私は2020年3月に、千葉県富津市の金谷にて「田舎フリーランス養成講座」(通称:いなフリ)を受講していました。
受講期間中に4名の講師や運営スタッフの方にインタビューをさせていただいたので、全8回に分けて記事にしていきます。
ラストとなる4人目は、怪談師としてYouTubeチャンネル登録者数10万人(!)を誇る、いなフリ講師&メンターの「ナナシロ」さん。
ナナシロさんの哲学から“気づき”をもらえる、ボリュームのある記事になっています。
- twitter:@nanashiro1988
- Blog:ナナシログ
- YouTube:怪談師ナナシロ
【前編はこちら】
前半で「人生とは?」「生きるとは?」の話をしていると語ってくれました。
たしかにナナシロさんは仕事の手段の話より、考え方の話が断然多いですよね。
もし今取り組んでいることをやりたくないのなら、他に何をするか一緒に考える。
いなフリで一番良いと思っているのは、疑うこと・考えることに対してのヒントを与えられるところなんだ。
「決められた枠の中だけで考えない」ということを教えるのは、学校や塾の教育では経験がなかったんだよね。
それぞれの受講生を良い方向へ導くために、何か意識しているんでしょうか?
それと、大事なことを話す人間として足りうる存在であるようには意識してる。
ただの雑談でも「ナナシロの言うことはガチだぞ」って感じてもらえる雰囲気をつくるようにしてるね。
たしかに、何気ない会話の中でもナナシロさんの言葉は心に残ります!
その雰囲気づくりはなぜできるんでしょうか?
それは、場数を踏んできたからかな。今まで失敗もたくさんしてきたから。
僕は常識を疑ってきたからこそ、人に対してフラットなんだよね。
例えば「いい歳して、引きこもっている大人」がTVで取材されてたとする。
よくある意見は「働けよ」「甘えるな」だけど、僕は「自分は引きこもってないのに、この人はなぜ引きこもっているの?」と考えるなぁ。
「この人を助けなきゃ」って感情とも違う、フラットな接し方をすることで、結果として場数を踏んできたんだよ。
それと、自分の要望や希望を持たないのも僕の強みだね。
普通はいち人間としての幸せを希求するものだけど。
自分の希望を持たないからこそ、小さい頃から誰とでも“一定の距離感”で接していたんだ。
学生時代からにぎやかなグループ、大人しいグループ、どっちの人とも付き合いがあったね。
人とフラットに接して場数を踏んできたから、目の前にいる人に合わせた伝え方ができるんですね。
よく「ひとりで何人もの人生を生きる」って話をしてるけど、今話しながら考えがまとまったわ!
僕の根底にあるのは「人間という個体を捨てる」というテーマだな。
昔から“ひとりの人間”として見られるのがどうも苦手で。
僕は「水や空気になりたい」と思ってるんだよね。
そんな内容の小説もいくつか書いてたよ。僕の悪いクセで完成させてないけど(笑)
丸山健二さんの「水の家族」って小説から影響を受けてて。
独りで亡くなってしまった男の人が水のようにたゆたって、故郷の家族を見て回る物語なんだよね。
小説を読んだときに、僕も同じ感覚を持っているなと思ったんだ。
大体の人は水や空気になりたい感覚は持っていないと思いますが、中には共感する人もいますよね。
ちなみに僕が小説で書いてたのは、お風呂で半身浴してたら水になってしまった話。
それでも力を振り絞って玄関から出るんだけど、そこで蒸発して雲になって、空を延々と漂うってストーリー。
その小説を書けるのも、哲学的だからこそですね・・・!
インタビューがこのままでは締めにくいので(笑)、人間味に落とし込んだ今後やりたいことが聞きたいです。
今年の目標は「人を採用する」ことだね。
Artfans(美術メディア)のライターさんを雇いたい。
いなフリ講師をしていて個人的に課題だと考えているのが、アート・美術界の教育と卒業生の進路がひどい状況であること。
そのために子供の頃の純粋な気持ちだった人が苦しくなってしまうし、社会不適合者のような扱いになってしまってるんだ。
美術業界の人は偉そうだったり、人間味がなかったりで、変わった人が多いんだよね・・・。
業界に自分を合わせて生きるか、美術は辞めて他の職業に就くか、選択肢があまりに少ない。
僕はアーティストたちのインスピレーションや表現欲求は宝だと思っているんだよ。
自信がない人でも“宝”を堂々と見せられるところや、食い扶持をつくってあげたいんだよね。
例えば、美大の卒業生に「好きなように書いて」と頼むライターの雇い方がしてみたいんだ。
Artfansで美術について、小・中学生でもわかるように書いてもらいたくて。
美術への偏愛っぷりを見せつつ、ゴッホの面白さとかを伝えて欲しい。
他にも、現代アーティストさんを一般的な感覚でおもしろおかしく紹介するのもいいかな。
「この人は何でこんな変な絵を描くの?」みたいな特集をしたい。
一般の人に寄せていく路線で、「アートをエンタメにしたい」と思ってるんだよね!
たしかに面白そうですね~!美術に詳しくなくても、楽しめそうです。
うん、一度でも美術の教科書で見かけたり、美術館に行ったりした人は楽しめると思うよ。
ちょっとためになるような、アートに興味を持てるようなメディアにしたいね。
ありがとうございます。これで記事をまとめられそうです!
よかった!僕が取材を受けると、話がめっちゃ脱線するんだよ(笑)
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以上、いなフリ講師&メンターのナナシロさんにお話を伺いました。
多くの人に刺さる言葉を伝えられるヒミツや、ナナシロさんの独特な哲学について知ることができました!
これから力を入れていくと語っていた美術メディアも、とても面白そうですよね。
ナナシロさん、お時間をいただきありがとうございました!